落ちこぼれ神社

犬耳美少女の皮を被った人生の敗北者がどうでもいいことを書き綴るただの日記

テキトーに書いてみる 前半

皆さんこんばんわ。臆病者で有名な私こと負け犬です。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

 

とある寂れた神社の前で佇む少女が一人。

 

時刻は21時過ぎ、辺りはとっくに夜の闇に包まれていた。

 

そんな神社の境内で一人佇む少女は異様な仮面を被っており、夜ということもあってかなり不気味な雰囲気を醸し出していた。

 

この神社の管理人である落ちこぼれがこの仮面少女を見たら、あまりの恐怖でギャン泣きするであろうことが容易に想像できる。

 

神社の手伝いをしているアホの子オーラ全開なんちゃってお嬢様が見たなら、お嬢様にあるまじき顔で失禁するかもしれない。

 

そんな不気味な少女は寂れた神社を仮面越しに見上げ

 

 

「・・・主」

 

 

小さな声でポツリ、呟くのであった。

 

 

 

 

ー落ちこぼれ神社ー

 

21:31

 

 

ー広間ー

 

 

「いやいやなにその子供の人数!?おかしいでしょ!!?」

 

 

この冒頭からキャンキャンうるさい犬耳美少女が、落ちこぼれ神社の管理人で有名な我らが負け犬その人である。

 

見た目は美少女だが、中身は20代半ばでボッチな成人男性。

 

あらゆる才能が欠落しているうえにあらゆる能力が常人の10分の1程度しかない正真正銘の落ちこぼれではあるが、今日もしぶとく生きてます。

 

 

「あんらぁ?今なんか貶されたうえにメタい発言があった気がしたんだけど?気のせいかしら?」

 

「まぁいいや、とりあえずその子供の人数は絶対おかしい。」

 

 

貶されても気にならないくらい、負け犬の頭は目の前の子供問題でいっぱいらしい。

 

どうやら今はみんなで人生ゲームをしている最中なご様子。

 

ゲーム中になんか問題があったっぽい。

 

 

「・・何も・・・おかしくないだろ・・言いがかりは・・やめろ・・・ですぅ。」

 

「ふざけたこと・・ぬかすと・・・ケツの穴から・・手ぇ・・ツッコンで・・・奥歯ガタガタ・・いわすぞ・・ですぅ。

 

 

このお下品お下劣なことを言っている眼帯少女の名前は白衣

 

基本的に毒しか吐かないサイコパス少女である。

 

あとなんでか知らないが負け犬を何故か英語(Loser)で呼ぶ。

 

 

「いやいやいやいや!!白衣は1回しか『子供が生まれるマス』に止まってないのになんで子供が9人もいるのさ!?おかしいでしょ!」

 

 

人生ゲームのコマは車の形をしており、そのコマには人に見立てた棒を挿すことができる。

 

人生ゲームではお馴染みのコマである。

 

白衣が使っているコマは最大で6人の人を乗せることができるが、親2人と子供9人という11人大家族には些か小さすぎる車のようだ。

 

乗れなかった残り5人の子供が車(コマ)から無惨に投げ出されていた。

 

5人の子供からはどこか哀愁が漂っているようにも見えるのは気のせいだろうか?

 

これがゲームではなく現実であったなら間違いなく事案である。

 

 

「仕方ない・・私の・・・正当性を・・Loserにも・・わかりやすく・・・説明して・・やる・・ですぅ。」

 

「まず・・さっきの・・・『生まれるマス』で・・1人生まれた・・・ですぅ。」

 

「残り8人の・・子供は・・・結婚相手の・・連れ子・・・ですぅ。」

 

「その結果・・11人大家族に・・なった・・・ですぅ。」

 

「わかったら・・さっさと・・・お祝い金を・・9人分寄越せ・・・ですぅ。」 

 

「このゲームに連れ子とかいう生々しい設定はないよ!!」

 

「っていうか8人だなんて多すぎですわよ!連れ子はせめて3人くらいにしてくださいまし!」 

 

「だから!そもそも連れ子なんて設定はこの人生ゲームにはないんだよぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

連れ子を利用して他人から金を巻き上げようとするゲスゲス白衣に、金髪巨乳な少女がトンチンカンなツッコミを入れている。

 

おかげで負け犬のツッコミの労力は2倍になった!やったね!テレレテッテッテッテーン

 

 

「良くないわい!」

 

 

先ほどのお嬢様口調な金髪巨乳少女はお嬢と呼ばれている。

 

先ほどの会話からうかがえるように、この少女はアホの子である。

 

頭に使われるはずだった栄養が全て胸にいってしまったのだろうか?なんとも残念な娘である。

 

 

「このナレーター、なんかムカつきますわね」

 

「全くだ、グーで3回くらいビンタしてやるから出てこいや!」

 

 

残念ながらそんなことを言われて出てくる馬鹿はいないと思うのよね。

 

あと、それビンタじゃなくて殴るって言うんだゾ☆

 

 

「ナレーターが出てこないなら仕方ありませんわ、人生ゲームの続きをやりますわよ」

 

「ほら、白衣はその大勢の連れ子を車から降ろして」

 

「・・・ったく・・仕方ねぇ・・・ですぅ。」

 

 

「もう少しで・・お祝い金を・・ガッポリ・・ぶんどれたのに・・・ですぅ。」と、ブツブツ呟く白衣を見て『これが資本主義の豚か』とか思いつつ、負け犬はルーレットを回す。

 

 

「よし、5マス進むっと・・・うん?この先は『ギャンブルエリア』か」 

 

「ここはギャンブルで稼いで一気に首位に躍り出るぜ!・・・って言いたいところだけど、今お金が全然ないや」 

 

「負け犬さん、さっきからお金を支払うマスを踏んでばかりですものね」

 

「おまけに・・Loserは・・フリーターで・・・薄給だしな・・ですぅ。」

 

「現実だけでなくゲームの中でさえも薄給とか全然笑えまてん・・」

 

 

そう呟く負け犬は、まるで腐った魚のような目をしていた。

 

難易度ウルトラベリーハードな最底辺人生を現在進行形で歩んでいる彼にとっては、ゲームでさえ負け組という現実はとても精神的ににクルものがあるらしい。

 

そんなシャボン玉のように弱いメンタルの持ち主である負け犬に、猫耳で黒髪ツインテールな少女が優しい口調で話しかけてきた。

 

 

「大丈夫ですよお兄様、私にお任せください。」

 

「はい♪このお金でギャンブル頑張ってくださいね♪」

 

 

その猫耳少女はまるでギャンブル依存症の駄目夫にお金を与える駄目人間製造機な妻の如く、お金(子供銀行券)を笑顔で負け犬に差し出していた。

 

 

「・・・おい・・堂々と・・不正を・・するな・・・ドつきまわすぞ・・ですぅ。」

 

「不正とは人聞きが悪いですね。」

 

「お兄様が困っていたら何を差し置いても最優先にお助けするのは全世界の妹の義務です」

 

 

『真剣と書いてマジと読む』

 

そんな言葉を彷彿とさせる極めて真面目な表情で妹の義務とやらを宣うこの猫耳少女の名は勝ち猫

 

負け犬をお兄様と呼んで慕っているが、べつに兄妹なわけではない。

 

一見すると可愛らしい猫耳メイドだが、その実態はお兄様を愛して病まない日はないヤンデレ少女である。

 

 

「Loser・・テメェから・・・不正はするなと・・言ってやれ・・・ですぅ」

 

 

ついさっき自分で連れ子という不正を強行しようとしたことをシレッと棚に上げ、勝ち猫の資金援助をやめさせるよう負け犬に直訴する白衣。

 

だが負け犬から返ってきた言葉は

 

 

「俺、ヒモ生活も悪くないと思うのよね」

 

 

という、負け犬の駄目さ加減が窺える駄目人間発言であった。

 

 

「だって働かなくても生活に困らないとか最高じゃないですかやだぁ!」

 

「ここにマジもんの駄目人間がいますわね・・・。」 

 

「あ~、ヒモになりたいなぁ~」

 

「私はお兄様なら大歓迎です!いつでも養いますよ?」

 

「え?本当?それじゃ勝ち猫のヒモになろうかn」

 

「お兄様が私のヒモになった暁には、まずは誰の邪魔も入らない二人っきりでいられるお部屋をご用意しますね♪」

 

「うん、やっぱり遠慮するわ」 

 

 

身の危険を察知した負け犬はすぐさま空前絶後の緊急回避を試みた!

 

ここでこのまま首を縦に振り勝ち猫のヒモになってしまうと、負け犬を待っているのは動物園の動物のような生活である。

 

つまり、監禁されるってことだね☆

 

きゃー、ヤンデレ怖ぁい☆

 

 

「遠慮されることはありませんよ?お兄様?」 

 

「私が責任を持ってお兄様を養って差し上げます」

 

「あーっ!!なんだか急に働きたくなってきたでござるなぁ!!労働万歳!!」

 

 

普段『働きたくないでござる』と常々ぼやいている負け犬からは想像もできない言葉が飛び出てきた。

 

引きこもりで有名な負け犬も流石にまだ自由を謳歌したいお年頃のようだ。

 

やはり、ヒモ生活なんて美味しい話はそうそう転がってはいない。

 

 

「ずっとお傍にいます・・・もちろん墓の中も・・・フフフッ、アハハハハハハハハハハハッ!!!」

 

「あーぁ・・・ぶっ壊れた・・・ですぅ。」

 

「こうなるとなかなか戻ってこないんですわよね」

 

 

光の灯っていない濁った目と歪んだ笑顔で勝ち猫は不気味に笑う。

 

恐らく、お兄様との甘い?監禁生活の妄想をしているのだろう。

 

「鍵は難解なものを5重にかけて誰も入れないようにして、お兄様を見守るために監視カメラも5台設置しましょう。あとはあれもこれも・・・」などとブツブツ呟き始めた。

 

フツーに怖いです。

 

今の勝ち猫に関わると今後の人生は監視カメラに見守られる極悪な囚人のような生活になってしまうので、 負け犬は気配を殺して空気になっていた。

 

しかし、そんな負け犬の努力を無にするような一声が部屋に響き渡る。

 

 

「あんた達うるさいわよ!!こっちに集中できないじゃない!!」

 

 

凛々しい声を響かせた巫女服を着た少女の名は巫女

 

この落ちこぼれ神社の裏ボス的存在である。

 

普段は若干不機嫌そうな顔をしているが、たま~にデレるときがあったりする。

 

俗にいうツンデレである。

 

でも本人にツンデレって言うと強力な肘鉄が飛んでくるから迂闊に言わないほうがいいぜ☆

 

 

「ア、アハハ・・・勝ち猫ちゃん、今日も元気にトリップしちゃってるね」

 

 

この苦笑しているポニーテールな少女の名は

 

まるで理想の幼馴染を体現したかのような少女で、誰にでも優しい皆のオアシス。

 

雑草のなかに咲く一輪の花である。

 

巫女と姉は人生ゲームには参加せず、2人でチェスをしていた。

 

私服の姉はともかく、巫女服を着た巫女が神社でチェスに興じる姿はなかなかシュールであるが気にしたら負けであろう。

 

なんせここは神社にも関わらず猫耳メイドや眼帯白衣、金髪お嬢様風な少女がいるのだ。

 

神社の雰囲気に全くあってないとかそんなことを言い出してはキリがない。

 

 

「全く・・・あんた達がうるさいお陰で次の一手を落ち着いて考えられやしないわ」

 

「そう?私は全然平気だよ」

 

「あははははははははははっははははっはははっははっは!!!!」

 

「姉、正直に言っていいのよ?」 

 

 「・・勝ち猫ちゃんごめんね、やっぱりちょっとうるさいかも」

 

 

いまだ高笑いを続けるヤンデレに申し訳なさそうに呟く姉。

 

構成成分の半分は優しさでできている姉にさえうるさいと言わせてしまう辺り、勝ち猫の笑い方は尋常ではないことがわかる。

 

勝ち猫ちゃん、もうやばいんじゃない?これ症状が進んだ重度のヤンデレだと思うよ?末期ってやつだよ?

 

死人が出る前に隔離施設に入れたほうがいいんでない?

 

あ、でもどうせ死ぬのは負け犬だけだろうし、何も問題ナッシングだね!

 

あ~良かった☆

 

 

「良くないわい!」(2度目)

 

 

「ふぇっ!?急に天に向かって叫んでどうしたの?負け犬さん」 

 

「いや、またナレーターに貶されたような気がしたからつい」

 

「はぁ・・・メタい発言はやめなさいっていつも言ってるでしょう」

 

 

ため息をつきつつ巫女は負け犬に注意するが、どうせ言っても無駄だということは巫女も分かっていた。

 

なんせこれまで何度も注意してきたのにも関わらずこのザマなのだ。

 

学習能力が皆無なことで有名な大馬鹿こと負け犬である。

 

 

「そ、それよりも!人生ゲームを再開しようぜ!ほら、次はお嬢がルーレットを回す番だよ!」

 

「ふふーん、このまま私が1位になってやりますわ!」

 

「おい・・・そろそろ・・戻ってこい・・・ですぅ。」

 

「あははははh・・痛っ!?なんですか!?泥棒猫ですか!!」

 

「猫は・・・お前だ・・ですぅ。」

 

 

メタ発言したことを誤魔化すかのように、負け犬は慌ただしく人生ゲームを再開した。

 

現在首位をキープしているお嬢もその流れに乗り人生ゲームに向き直る。

 

トリップして高笑いをしていた勝ち猫は、白衣に鳩尾をコークスクリュー・ブローされてようやく我に返ったようだ。

 

鳩尾をコークスクリュー・ブローするというフツーに危険な暴力行為以外にも勝ち猫を正気に戻す手段はいくらでもありそうだが、そこは白衣クオリティ。

 

サイコパス白衣には慈悲や情けは砂粒ひとつほども存在しない。

 

 

「ほんと、こいつらはうるさくてしょうがないわね」

 

「もっと落ち着いた行動を心掛けてほしいものね」

 

「またまたぁ、そんなこと言っちゃってぇ♪素直じゃないんだから♪」

 

「・・何よ?私は素直な意見を言っただけよ?」

 

「ふふふっ、そうだね、そういうことにしておこっか♪」

 

 

「お姉ちゃんは分かってるからね☆」と言わんばかりのお茶目な表情をしている姉に反論しようとした巫女であったが、口から出かかった言葉を飲み込みまたひとつため息をついた。

 

巫女は口ではうるさいと文句を言ってはいるが、 こうしてみんなでワイワイ賑やかに過ごすのは嫌いではなかった。

 

しかし、ちょっと・・・いやだいぶ素直ではないツンデレ気質な彼女はついうるさいと言ってしまうのだった。

 

そんな巫女の素直じゃない天邪鬼っぷりはどうやら姉にはバレバレらしい。

 

自分の本音が見抜かれているという圧倒的不利な状況では何を言っても暖簾に腕押し、そう判断した巫女は反論するのをやめたのである。

 

本音を見抜かれた恥ずかしさからか、顔が少し赤くなった巫女はそれを誤魔化すかのように中断していたチェスに向き直る。

 

・・・どうやら会話だけでなく、チェスでも巫女が若干不利な状況にあるようだ。

 

どうすればこの不利な状況をひっくり返せるか。

 

賑やかな喧噪をBGMに、顔がほんのり赤い巫女はせめてチェスで姉に一矢報いようと作戦を練り始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

22:44 

 

 

ー広間ー 

 

 

 

なんだかんだで夜は更けていき、現在時刻はフタフタヨンヨン。

 

どうやら人生ゲームは一区切りついたようだ。

 

 

「私が1位ですか・・・お兄様はどうでしたか?」

 

「やったよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!最下位は免れたよぉぉぉぉぉ!!!」

 

「・・・ちっ・・私は・・・2位か・・・ですぅ。」

 

「くっ、増えるって言っていたのに・・・騙されましたわ」

 

 

人生ゲームは1位が勝ち猫、2位が白衣、3位が負け犬、4位がお嬢という結果に終わった。

 

ゲーム序盤~中盤にかけて職業がタレントのお嬢が1位だったが、中盤の途中で『スキャンダルマス』という地雷を力一杯踏みしめてめでたく無職にジョブチェンジ。

 

お嬢はその後お金を増やすために全財産の8割を株につぎ込んだが案の定失敗し、そのまま無一文になるという華麗な転落人生を送って最下位で終わった。

 

お嬢が転がり落ちるように堕ちてきたため、それまで最下位だった負け犬がなんとかギリギリお嬢を追い抜き3位。

 

勝ち猫と白衣はかなりの接戦を演じていたが、運よく勝ち猫が白衣を上回ったようだ。

 

勝ち猫曰く「日ごろの行いの賜物です♪」とのことだが、ぶっちゃけ勝ち猫(ヤンデレ)も白衣(サイコパス)も日ごろの行いはちょっと・・いやだいぶ目に余るものがある。

 

そんな二人のどちらかを選ぶという究極の選択を突き付けられた勝利の女神には同情を禁じ得ない。

 

かなり引きつった笑顔で勝ち猫に微笑んだのだろう・・・勝利の女神さまも大変だ。

 

 

「チェックメイト」

 

「・・・参りました」

 

「ふぅ・・・なんとか姉に勝つことができたわ」

 

「巫女ちゃんすごいね!あそこから逆転されるとは思わなかったよ」

 

 

チェスのほうも決着がついたようだ。

 

巫女は不利だった状況を覆し、見事勝利を収めていた。

 

無事に一矢報いることができたためか巫女の表情は心なしか晴れやかだ。

 

 

「あ~なんかお腹へったな」

 

「ちょうど区切りがいいですし、みんなでなにか食べますか?」

 

「そうですわね!私もお腹がすきましてよ!」

 

「夜食はほどほどにしておかないと体に毒よ」

 

「う~ん、そうだねぇ・・・じゃあみんなでペヤングでも食べよっか☆」

 

「あんたは人の話を聞いていたのかしら?却下よ」

 

「えー・・・」

 

 

巫女の忠告を聞いていたのかいないのか、負け犬は夜食にペヤング焼きそばを食べることを提案するが当然即座に却下される。

 

夜に食べるカップヌードルは確かに魅力的だが言うまでもなく体に毒だ。

 

不満そうな顔をしている負け犬を無視し、巫女は話を続けた。

 

 

 

「確か、炊事場にお米が残ってたと思うからそれでお握りでも作って食べましょ」

 

「そうですね、それがいいと思います」 

 

「私、ツナマヨが食べたいですわ」

 

「からあげおにぎり・・こそ・・・至高・・・ですぅ。」

 

「今からだと流石にからあげは用意できないと思うなぁ~」

 

 

負け犬以外の面子の意見で満場一致の可決になったため、夜食はお握りに決定した。

 

全然関係ない話なんだけどさ、セブンイレブンで売ってる茶色いツナマヨおにぎりって美味しいよね。

 

あれなんていうお握りなんだっけかな?和風ツナマヨ?だっけ?

 

忘れちゃった♪テヘペロ。

 

 

「じゃあちょっとお握り作ってくるね」 

 

「私も手伝うわよ」

 

「大丈夫!お姉ちゃんにまっかせなさい♪」

 

 

姉は人懐っこい笑顔でそう言うと部屋を出ていった。

 

料理は姉の得意分野なので、一人でも問題ないだろう。

 

可愛くてみんなに優しくて家庭的だなんて、まさに理想の幼馴染みじゃないですかやだぁー!

 

ちなみに、お嬢や勝ち猫や白衣には料理をさせてはならないという暗黙のルールが落ちこぼれ神社には存在する。

 

お嬢と白衣に料理を任せると暗黒物質が出来上がるため非常に危険である。

 

無理矢理食わされた負け犬が、身体中の穴という穴から泡を吹き出して地獄に逝きかけたことがある。

 

勝ち猫は二人と違って料理が出来ないわけではない、むしろかなり上手いほうだ。

 

では何が駄目なのかというと・・・負け犬に出す料理だけね?ちょーーっと怪しいというかなんというか。

 

負け犬の食べ物だけ異物混入が・・・ね?

 

まさにヤンデレ特有の症状です本当にありがとうございます。

 

 

「お腹減りましたわ、おにぎりが待ち遠しいですの」

 

「・・おい・・・Loser・・なにしてやがんだ・・ですぅ。」

 

「ちょっと待ちきれないからペヤングを食べようかと」

 

「待ちきれないって・・・いい大人が子供みたいなこと言ってんじゃないわよ」

 

「そのペヤングとヤカンはどこから出したんですか?お兄様?」

 

「ていうか、ペヤングは駄目だって言ったわよね?」

 

「まぁまぁ、みんなで食べるペヤングは美味しいぜ?たぶん」

 

 

おにぎりが待ちきれないというのもあるのだろうが、それよりなにより負け犬はペヤングを食べたいのであろう。

 

負け犬の前にはどこからか取り出した複数のペヤングとお湯の入ったヤカンが置かれていた。

 

負け犬は早速ペヤングを開封し、かやくを入れている。

 

 

「全く、仕方ないわね・・」

 

「巫女さんはなんだかんだで負け犬さんに甘いですわよね」

 

「もう開封しちゃったんじゃ仕方ないじゃない」

 

「お兄様、準備完了しました」

 

 

グダクダ話している間にペヤングにお湯を入れ終わったようだ。

 

あとは3分待つだけである。

 

 

「よっしゃ!ここは体内時計の出番だ!」

 

「体内時計ちゃん!いつも通り頼むぜ!」

 

 

負け犬はそう宣言したかと思ったら、すぐ不思議そうな顔をして言った。

 

 

「・・あんらぁ?体内時計が応答しないぞ?」

 

「HEY!体内時計ちゃん!どうしたんだYO!!」

 

「負け犬さん、自分のお腹に向かってなにか叫んでいますわ・・」

 

「アイツはなにをトチ狂ってるのかしら」

 

「・・おぉ・・・怖い怖い・・ですぅ」

 

「私が3分計測していますので大丈夫ですよ、お兄様」

 

 

自分にしか認識できない不可視の存在(体内時計)に必死に話しかけている今の負け犬は傍から見ればただの中二病患者または不審者

 

勝ち猫を除いた3人はドン引きである。

 

 

「まぁ・・Loserが・・気持ち悪いのは・・・いつものことか・・ですぅ。」

 

 

白衣はそう言って立ち上がり、部屋を出ようとする。

 

 

「白衣さん?どこに行くんですか?」

 

「・・脱糞・・・してくる・・ですぅ

 

「・・あんた、一応女の子なんだからもう少し言い方を考えなさいよ

 

「・・雉撃ち・・してくる・・ですぅ」

 

「それ、男の人が使う隠語だったと思いますけど」

 

「フツーに『お手洗いに行く』とか『お花を摘んでくる』って言いなさい」

 

 

表情ひとつ変えずに『脱糞』とか言い出す辺り、白衣には恥じらいというものが欠片もない無いことが窺える。

 

男の幻想をぶち壊す強烈な一撃である。

 

見た目は美少女なだけにとてもとても残念である。

 

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「急に負け犬さんが苦しみだしましたわ!!?」

 

「確か、前にもこんなことがあったわよね?」

 

 

あ、白衣のイマジンブレイカー(幻想殺し)に耐えきれずにもがき苦しんでる馬鹿がおる。

 

この馬鹿は『美少女はう〇こしない』という幻想を抱いていますからねぇ。

 

一応は美少女である白衣のイマジンブレイカー(脱糞宣言)に精神がやられてしまったのでしょう。

 

ひたすら気持ち悪いね☆

 

 

「ぬぐぉぉぉ・・美少女はうん〇しない・・・しないんや」

 

「大丈夫ですか!?お兄様!目線ください!」

 

 

床でもがき苦しみながら『美少女はう〇こしない』と壊れた音楽プレイヤーの如くブツブツ言っている負け犬を心配する勝ち猫だが、口調とは裏腹に生き生きと負け犬の写真を撮りまくっている。

 

写真は恐らく自身の『お兄様コレクション』に追加されるのだろう。

 

勝ち猫の部屋の壁や天上が負け犬の写真で埋め尽くされないことを祈るばかりである。

 

 

「アンタってやつは、本当にどうしようもないわね」

 

 

ビチビチもがき苦しむ負け犬を、まるで床にこびりついたガムを見るかのような極寒の眼差しで一瞥する巫女。

 

ドMな人は大歓喜するだろうが、生憎と負け犬はドMではない。

 

 

「じゃ・・私は・・・行ってくるから・・・ペヤング・・作っておけ・・このビチクソ・・ですぅ。」

 

「あ、私もお手洗い行きますわ」

 

「・・あっそ・・・勝手に行け・・ですぅ。」

 

「『一緒に行く』という意味ですわよ!?」

 

「ツレションか・・仕方ねぇ・・ですぅ。」

 

 

騒々しく会話しながら部屋を出た二人を、巫女は呆れ顔で見送った。

 

 

「トイレに行くだけで大騒ぎね・・」

 

「まぁいいわ、ほらアンタ、そろそろペヤングの湯切りするわよ」

 

「うぐぉぉぉぉぉぉ、認めん、認めんぞぉぉぉぉ・・」

 

「駄目ね、しばらく使い物にならなそうだわ」

 

「勝ち猫、ペヤングの湯切りするわよ」

 

「ふふっ、ふふふふふ・・・今日もお兄様の写真がたくさん撮れましたぁ♡」

 

「・・・・」

 

 

自分は何故こんな馬鹿の巣窟にいるのだろうか?

 

巫女は心底疑問に思いながらため息をつき、ひとりでペヤングの湯切りをし始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

23:16

 

 

 

ー炊事場ー

 

 

 

「え~っと、梅にツナにおかか、塩と・・ふりかけも美味しいから作っちゃおうかな」

 

 

落ちこぼれ神社の台所にて、姉は手際よくおにぎりを作っていた。

 

その姿はまさに家庭的で世話焼きな美少女幼馴染みそのもの。

 

幼馴染みっていいよね、可愛いよね。

 

『幼馴染みは負け属性』とかいう風潮が世の中の一部にはあるらしいけど、悔い改めればいいと思うよ。

 

 

「白衣ちゃんには悪いけど、流石にからあげおにぎりは無理だから我慢してもらおう」

 

「っと、よし!これくらい作れば十分かな」

 

 

おにぎりを作り終え、後片付けをしようとしていたその時

 

タッ

 

姉の後ろにある炊事場のドアから音がした。

 

 

「あれ?誰か来たのかな?」

 

 

そう思った姉がドアに近付こうとした瞬間、ドアは音も無くゆっくりと開いていく。

 

開いたドアの先にいたのは

 

 

「あなたが・・・主?」

 

 

割れた狐の仮面を被った、見知らぬ少女だった。

 

 

 

 

to be continued・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、長くなりましたが前半はこれにて終了です。

 

私、こういうラノベっぽいような小説っぽいようなものは1度も書いたことが無い超ド素人ですが、何故か書きたくなったのでテキトーに好き勝手書いてみました。

 

カッとなって書いた、特に後悔もしていない。

 

うん?続きはいつになるかって?

 

続きは・・GW中になんとかできれば・・・いいなぁ(震え声)

 

あ、一応登場人物の紹介をしているページを貼っておくので、興味がある方はゆっくりしていってね☆

 

 

www.aki1200otikobore.com

 

 

 

 

ということで今回はここまで。

 

それではまた次回(^o^)/

 

 

 

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